生徒だけど寮母やります!2
彼女たちが不満とともにそれぞれの持ち場に戻ると、2人は「それでは僕たちも」と踵を返そうとする
しかしそれを、市河が思い立ったように引き留めた
「あ、ちょっと……待ってくれねーかな」
「……なんですか?」
「……うん」
咲夜も首を傾けて市河を見る
市河は自分に注目する3人の顔を見ると、神妙な面持ちで話を切り出した
「ルークのことなんだけど……」
その言葉に、咲夜は「あ……」と声を漏らす
もしかしていっちーも、ルークがMAの構成員だって知ったのか……?
一瞬そう思った咲夜だったが、彼の考えを読み取ったかのように市河は首を振った
「いや、その……ルークが何者かとか俺は知らないけど、みんなが話してることはなんとなく気づいてる。
でもそこは、別に魔術科の事とかよく分かんねーし、本人の知らないところでルークの事を知りたいとかも思わないんだけどさ……。あいつ、毎日景と下校してるの知ってる?」
「景と?」
咲夜は驚いたように聞き返す
「俺は知らなかったけど、でもルークって学科授業受けてないんでしょ?じゃあ景と下校のタイミングは同じだし、それなら1人で帰るより2人で帰ろうってだけなんじゃん?」
そんな咲夜の言葉に続いて、1年生が口を開く
彼らは、2人が一緒に下校してることについては知っているようだった
「僕は景とルークが一緒に帰ってるのは知ってました。毎日っていうのは気づいてなかったですが」
「俺も」
しかし市河は腑に落ちないようで、「うーん……」と唸る
「なんか……ずっとピッタリくっついてる気がするっていうか……」
「なになに、いっちーヤキモチ焼いてんの?珍しいね!」
「……あー、言われると思った。絶対言われると思った」
そうじゃないんだよなぁ……
何て言えばいいか……
こう.....
「ルークが、ナイトを気取ってる」
「え……」
いきなり千冬がそうぽつりと呟いて、彼以外の3人はそちらを向いた