生徒だけど寮母やります!2
混乱します!
結斗、ライ、景の魔術科の3人がその事態に気付いたのは
咲夜と市河よりも早く
その日の朝のことだった
『伊吹グループの株が凄い勢いで下がってる』
そう気がついた結斗が人気の少ない廊下に出て母親に電話を入れると、思いもよらぬ返答が帰ってきたのだ
「結斗.....お家(伊吹グループ)何かあったの?」
不安そうにそう尋ねる景に、結斗は若干の間を空けてから「うん.....」と目をそらして頷いた
「伊吹グループに何者かの不法侵入があったみたいで、色々なデータが盗まれた。それが流出したせいで株価が急降下したみたい」
.....不法侵入..........!?
景の後ろで聞いていたライは事態を飲み込んだのか頷くと
「その流出した情報っていうのは、顧客情報とかそういう類か」
と尋ねた
「..........どうだろうね。顧客情報にせよそれ以外のマズい情報、例えば不正事実とか.....なんにせよこれはもう取り返しがつかない信用の喪失だから.....この先が思いやられるよ」
そう言う彼の顔には切なさと悔しさが滲んでいた
きっと、何もできない子供の自分が歯がゆくて
どうしてこんなことになってしまったんだと
不法侵入者を、伊吹グループを責めても責めきれないのだ
「景ちゃん.....」
結斗は景の前まで行き、両腕を掴むとその肩に額をつける
自分を掴む彼の手は
なんだか冷たくて
弱々しかった
「結斗.....」
「多分情報が広まるのも時間の問題だから、少し迷惑かけるかもしれない。ごめんね」
「ちがう、結斗が謝ることじゃないよ。私たち、全力で結斗を守るから!」
伊吹グループに何が起きてるかは分からないけど、でもこれは本当
私たちは結斗の味方
そう思って言った景だったが
「なんだこれ.....」
後ろからライの呟く声が聞こえて、2人は彼を見た
「ライ.....?」