生徒だけど寮母やります!2
思い出します!
翌日
「結斗君ー大丈夫?」
「大変だねぇ」
教室に登校して席に着いた景は、女子たちに囲まれてそう声を掛けられる結斗を遠くからチラリと見た
ほんと、大変だねぇ.....
彼の家の会社、伊吹グループの経営が崩れかけている事が全員に知れ渡って
しかも伊吹グループに侵入し、その原因となった組織の一人が爽馬だとわかった今
景たちのクラスメート、特に女子たちは最大の同情心を露わにし、ひたすら彼を慰めている
「声かけてくれてありがとう。心配かけてしまったね」
そんな彼女たちにいつもの王子スマイルで対応する結斗
しかしその笑顔は普段よりどこか儚く、いつも彼を見ている景にはかなりの違和感があった
「こんなときまで笑顔で対応するなんて、アイドルのファンサービス並みやな」
同じことを思ったのか、結斗を見てそう言いながら鈴菜が景の席にやってくる
「あ、おはよ」
「おはよ」
景は先ほどの言葉に「そうだね.....」と苦笑いすると
「でも、人と話してた方が気も紛れるかもしれないよ」
と鈴菜に言った
「そうだとええけどな。こんな機会を上手く利用して、伊吹に声掛けてるだけやでアレ」
「反応に困るので話題変えますね鈴菜先生。現国の宿題やった?」
「んー、前回授業中にやった」
「あー.....そっか、席うしろだもんね。見せて」
「いいよー。あとで持ってく」
相変わらず結斗は囲まれていて、自分は近づけそうにない
景は、
ライが話しかけてあげたらいいのに.....
そう思いながら机に突っ伏して眠っているライを見た
「なーに火野ライ見てんの」
「え?別に。結斗のとこに行かないで、薄情だなと思って」
景は昨日のことを思い出して何となく恥ずかしくなりながら強気にそう言う