生徒だけど寮母やります!2
行きます!
金曜日 夜8時
伊吹グループ本社のビル内にある伊吹家へと到着した結斗は、緊張した面持ちでインターホンを鳴らした
ピンポーン
数秒後、ドアががちゃりと開く
「はーい、久しぶりだね結斗」
ドアを開け、中に入るよう促してくれたのは結斗の姉だった
「久しぶり、姉さん」
結婚して地方へと嫁いで行った姉
あんなことがあって、伊吹グループが、両親たちが心配で一時的に帰省しているのだろう
久しぶりに会えたはずなのに
素直には喜べず、結斗は靴を脱ぎながらシンと静まり返った家を見渡した
「母さんは?」
「寝てるよ。いろいろショックだったり疲れたりしたんでしょう、最近はずっと寝室に閉じこもってるの」
「.....え」
「大丈夫よ。ご飯はちゃんと食べてるから」
彼女は結斗がスリッパを履いたのを見ると、リビングまで歩きながら
「それで、お母さんたちが心配なのもあるけど、詳しい話を聞きたくて来たんでしょう?」
と視線を変えずに尋ねた
さすが姉
なんでもお見通しだ
「そう。姉さんは全て知ってるの?」
「知ってるよ。パパから聞いたから。でもそれはあとでちゃんと話すから、まずはお茶でも飲んで休みなさい。疲れたでしょ」
それもそうだと、結斗は姉の言う通りにリビングのソファに腰掛ける
久々の自宅
懐かしいような、前とは違って寂しいような気持ちが彼の心を支配した