生徒だけど寮母やります!2






「景ちゃんがいないと寂しいねー、斎藤ちゃん」

2年生がいない共同リビングのテーブルにて、そう零した満宵に、景の代理として給仕していた斎藤マナは溜息をついた



「お粥食べながら何のんきな事言ってんのよ。さっき、あなたが具合悪くして保健室にお世話になってるって聞いたときは心臓飛び跳ねたんだから」

斎藤マナの言葉に、熱心にカレーを食べていた弥隼も頷く


あれから時間が経ち、もうすっかり元気になってケロリとした満宵はふふふと笑うと

「心配してくれたのー?」

とマナの顔を覗き込んだ


「え?あの子(景)がいない今、何かあって責任を問われるのは私なんだからね」


彼女の言葉に何故か満宵は満足したような顔をすると

「斎藤ちゃんは有姫ちゃんに似てるねー」

と言ってコロコロと笑った


「.....え..........アキって誰」

「波屋有姫ちゃんだよ」

「やめてよ一緒にしないで!」

「酷いですね.....先生」


でも確かに似ているんだよなぁ.....

そう思いながら千冬はチマチマとカレーを食べ、マナをなんとも言えない表情で見る


そこでルークが満宵に対して口を開いた


「でも元気になってよかったね?」


「ありがとうルーク。そーそーっ、僕だって元気になったしカレーが食べたいんだけどなぁ」


「じゃーお粥にルーでもかければー」


千加の心無い発言に、みんなが笑った


「千加カレーの敵やな」


「福神漬けを食わず嫌いする弥隼には言われたくないよね」


「お前は何?福神漬けもカレーの一部だと思ってんの?」


「え?外部だとでも言いたいの?」


そんなこんなで、千加と弥隼がくだらないカレー談義に燃え上がったとき


ガチャリ


男子寮Bの扉を開く音がして、全員がそちらをパッと見た


「あーやっと帰ってきたわ」


「みたいやな」


何も知らないマナと弥隼が言う


満宵、千加、千冬が表情を変える事はなかった


しかし

「ただいま」

そんな咲夜の挨拶とともに入ってきた彼らを見て、6人は目を疑った



ライに抱えられた景の足が

赤く染まった包帯でグルグルに巻かれていたのだ

< 175 / 547 >

この作品をシェア

pagetop