生徒だけど寮母やります!2
父親の言う『こっち』とは、『妖術結社』を意味している
妖術結社とは日本の妖術系統を統括する組織であり、つまり、規模は少し小さいがMagicAssociationの妖術版のようなものだ
歴史の長いいくつかの妖術系統の家系から成り立つ妖術結社
その家系の中には、小高家も含まれていた
「爽馬、お前の兄や姉たちがそうしてきたように、お前もすぐに退学して妖術結社に入りなさい」
父親はまるで爽馬を見下すかのような冷たい目でそう言い放つ
予想はしていたことだ
しかし、それでも屈しないと自分に誓ってここに来たのは、爽馬の心の中には景の笑顔や、男子寮Bみんなの笑顔があったからだった
「学校を辞めるつもりはありません」
爽馬の強い意思を含んだ言葉に、父親は顔色を変えず爽馬の目を見据える
そして
「お前は、学校や他人に興味が無いのかと思っていた。よもや、妖術結社に入る事を拒むなどそんな馬鹿なことはしないと思っていたが.....違うようだ」
感情のこもらない声で、彼の意思を全否定した
「いくら私を睨んでも無駄だよ爽馬。これは命令だ。退学しろ。そして妖術結社に入れ」
「妖術結社に入ったって、あんたたちの駒として働くことになるだけです。行きません」
なんとしてでも譲らない爽馬だが、父親は特に困った顔をするわけでもなかった
まるで爽馬が妖術結社に行くことが運命として決まっているかのように余裕を見せている