生徒だけど寮母やります!2
『じゃ、じゃあ分かった!私、爽馬と一緒に帰る!!!』
『ねえねえ、見てよ爽馬!にょりにょりです!』
『爽馬!無理しようとしないで!』
景が自分を呼ぶ声が
鮮明に頭に思い浮かんだ
無表情で、何を考えているかも分からなくて、言葉も視線も冷たい自分と、真正面から向き合ってくれた彼女
最後に一度だけ
恩返しというにはおこがましいが
一度だけ、守らせてもらえるだろうか
「..........」
全身が『嫌だ』と叫んでいる
それでも爽馬は口を開いた
忌々しい父親に向かって
吐き捨てるように言った
「分かった。妖術結社に入る。だから景には近づくな」
「..........いいだろう。2月だ。2月には退学の手続きを済ませ、寮を出なさい」
これが、あの冬
爽馬が何も理由を言わず
『自分の未来は自分で決める』と、『転校する』と嘘をついて
そして今までで一番輝くような笑顔で
彼らと別れた本当の理由だった