生徒だけど寮母やります!2
ルークの質問に、彼は若干躊躇ってから
『笠上景』
と答える
カサガミケイ.....
ルークは妖術結社に狙われているらしい少女の名前を頭の中で反芻した
そんな彼に、小高爽馬はこう続ける
『彼女は2つある男子寮のうち、Bという男子寮の寮母なので、そっちに入寮して頂きたいです』
「寮母?生徒だと伺いましたけど」
『彼女は生徒として通いながら寮母をやっています』
そんなことがあるのか
ルークは目を丸くした後
ハッとして「あ、それは.....」と質問した
「入学前に、どちらの寮に入るのか選べる仕組みですカ」
電話越しの小高爽馬は
『いや.....』
と言って否定すると
『今年度の入学時における男子寮B入寮者は4人なので、何もせずに入学すれば確実に男子寮Aに入ることになるでしょう』
と説明する
「え.....」
たった4人しか入寮者がいない?
その4人は一体どうして男子寮Bに入ることになった?
というより、それなら自分はどうすれば男子寮Bに入れるのか
小高爽馬は声には出さなかったルークの疑問を予想したのか
『僕にも詳しくは分かりませんが、憶測を交えて分かっていることは伝えておきます』
そう前置きしてから話し出した
『僕は先日退学しましたが、男子寮Bの生徒でした。極力、僕が他の生徒と関わることを避けるために、男子寮Bが創設されると知った、妖術結社の役員である父親が僕を男子寮Bに入れるように申し込んだと思われます。
また伊吹という生徒は、伊吹グループという貿易会社の御曹司で、これも父親の申し込みにより特別待遇で男子寮Bに入っている可能性が高いです。
3人目、布川という生徒はクラスでも寮でも僕が最も関わる機会が多かった生徒なので勘付いたことですが、恐らく何か病を患っているので特別待遇で男子寮Bに入っていると考えています。
火野という生徒に関してだけは、分かりませんでしたが。
これらのことから考えて、学校側にルーク・ウォリナーさんがMagicAssociationに所属していると伝えれば、恐らく入寮が可能だと思います』
ここまで聞いて、ルークは急いで口を挟んだ
「あの、あなたの父親が妖術結社の役員って.....いいましたよネ?」
『妖術結社に女子生徒が狙われている』という密告
『父親が妖術結社の役員である』という今回の話
この人は、一体どちらの味方なんだ
小高爽馬は相変わらず冷静に
『..........父親と僕のことは、あまり触れないでもらえると助かります』
そう言って、それについては深く語ろうとはしない