生徒だけど寮母やります!2
最悪の事態が起こります!
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「.....そういうわけで、俺は先輩たちが小高家へ向かったと知って、景をそこに近づけないために小高爽馬に電話したんですヨ。これでこの事を他言しないという彼との約束はパーですケドね」
ルークは彼と爽馬の間にあったすべての事を打ち明けると、肩をすくめてため息をついた
仕事において完璧主義の彼にとっては、あまり言いたくなかった事だっただろう
しかし景には、全てを打ち明けた彼はどこか安堵しているようにも見えて、本当は1人でいろいろ抱え込むのが辛かったんじゃないかと思った
「言ってくれて.....ありがとう、ルーク君」
1人で抱え込むタイプの人間は、この寮では珍しくない
今はこの寮にはいない、今回の爽馬もまた然り
「まだよくわからない事だらけで、私もすごく混乱してるんだけど.....でも、本当に全部私のためだったんだね。ルーク君も、爽馬も」
マナ含め男子寮Bの全員が見守る中、景がそう言うと、ルークは
「あ.....そう、それ。さっき小高家に行ってみて、全部景のためだって先輩たちは分かったって言ってたけど.....それって?」
と不思議そうに二年生を見渡した
そしてそれに答えたのは、ニヤリと景とアイコンタクトをとった咲夜だった
「いやー、爽馬って結構最初から容赦なく景を狙ってきたんだけどさー、全部狙いは足だったんだよね」
「足?」
聞き返すルークに「そうそう」と笑った結斗は、どこか嬉しそうに続けた
「最後に俺たち、倒れた爽馬に油断してて、景ちゃんの足をやられたわけだけど.....まだ爽馬の体力が有り余ってたんじゃなかったんだよ」
「.....絶対に景を小高家に近づけるわけにはいかなかったから、自身の痛みに耐えて力を振り絞って景の足を炎で撃ったんだ。景が足に怪我を追えば、俺らは山を歩けなくなって帰るだろうし」
ライもそう言ってチラリとルークを見る
景は彼らの言葉を、胸が締め付けられるような思いで聞いていた
よく考えれば、4対1で戦って爽馬が疲弊しきっていることは分かったはずだったのに
なのに、自分たちはあんなに全力で、爽馬と敵対して集中攻撃するような事をしてしまった
それは彼にとって悲しい事だっただろうし、きっと自分たちを攻撃をするのだって苦しかったはずだ
「だから私たち、帰りの新幹線で話したんだ。爽馬はきっと何か理由があって戦ってるんだろうって」
ルークはただ、深く息を吐き出して
額に手を当てた
そして
「バレてるじゃん.....バレてますよ.....小高先輩.....」
そう言ってかすかに微笑んだ