生徒だけど寮母やります!2
「笠上美音がこの件に関わっていると考えると.....かなり辻褄が合うんだよ」
結斗の言っている意味がよく分からず、景は顔を曇らせてライを見た
先ほどから比較的冷静に話を聞いている彼に、助けを求めるような気持ちだった
そんな景の視線を受けてか、ライは顔色を変えぬままテレパシーを彼女に送る
(爽馬にもやられて、長時間犬にもなって体辛いんだろ)
素直じゃないが自分を心配する言葉に、景は思い切り首を振りたいのを我慢して
(新幹線で休んだから大丈夫だよ。ただ.....少し怖くて)
そう心の中で言った
(でも大丈夫、こうやって話せて少し安心したから)
それに対してライはなにも言わなかったが、少しだけ口の端を緩めると
「例えば」
と結斗に『辻褄が合う』例を促す
結斗はどう話そうか迷っているのか、少し間を空けてから1つ1つ例を挙げていった
「まずは、妖術結社が景ちゃんを欲している又は狙っていること。
次に、爽馬たちが伊吹グループのオフィスフロアのみを侵入、襲撃して『比較的程度の軽い不祥事の情報等』を盗んだこと。
そして爽馬が景ちゃんの件をMagicAssociationJAPANには依頼せず、何故かアメリカロサンゼルスにあるMagicAssociation本部に依頼したこと。
笠上美音が、命を擦り減らして生きてること」
彼の挙げた例は、前々から景たちが疑問に思っていた事だった
しかしだから、それらが何だと言うのか
誰かがその疑問を口にする前に、結斗は
「あともうひとつ、あるんだ.....でも推測で.....」
そう言って、また口を閉じる
推測.....?
「.....それは?」
結斗は言うのをためらっている
見かねた市河が恐る恐る尋ねると、彼は息を吐き出して
「ただ.....その俺の推測が当たってれば、多分今頃」
今頃.....?
結斗は沈黙の中
「伊吹グループは倒産してるかもしれない」
そう言った