生徒だけど寮母やります!2
みんなで帰ります!
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その30分後
二年生とルーク、弥隼、以倉双子は駅のホームで電車を待っていた
「まさか今日、もう一回電車に乗る事になるとは思わなかったなー」
ベンチに腰掛ける咲夜は夕焼けに染まる空を見上げながら、ため息を漏らす
先ほどの結斗の言葉
『伊吹グループに帰りたい』
を聞いて、景は
『それじゃあ行こう。今から』
そう頷いたのだ
それからは早かった
マナと、本日体調を崩していた満宵に留守番を頼み外出届を提出
景が怪我をしている手前、あまり寮母仲間にはいい顔をされなかったが、ほぼ寮母長の権力を使って受理させたのだ
今まで『生徒の自分』と『寮母の自分』をなるべく分けて生活していた景
『結斗の友達の生徒』として、こうして自分の肩書きに頼るのはこれが初めてかもしれなかった
「斎藤ちゃんも、これを許してくれるようになるとは成長.....?したってことかなー。前はそんなんじゃなかったもんなー」
咲夜の言葉に、弥隼におんぶをして貰っている景は以前のマナを思い浮かべた
ちょうど同じことを考えていたのか
「一年前の台風のアレとかな」
とライが言う
「なんか懐かしいね」
クスリと笑った景に、彼女を負ぶる弥隼は「なんかあったんですか?」と尋ねた
「うん、いろいろとあったね。でも面白かったよ」
景の言葉に結斗が肩をすくめる
「今なら笑える話かもしれないけど、景ちゃん退職の危機とか色々切羽詰まってたよね」
「退職っていうかクビみたいな感じだったよ」
「何やそれ」
「お前は定年まで寮母やりそーだな」
電車を待ちながら一年前のことに想いを馳せると、必然的に爽馬の顔が思い浮かび、景は弥隼の肩にかける腕につい力を込めた