生徒だけど寮母やります!2
「寮母さん.....どないした?」
視線で振り返る弥隼に心配され、景は「あ、ごめん、苦しかった?」と手を緩める
「いや、苦しくはないですけど」
.....寮母さん
だいぶいつもより余裕ないっていうか、一生懸命って感じやな.....
弥隼は自分の腰のあたりにぶら下がる、包帯に巻かれた景の足を見た
「怪我、寮母さんほんまに大丈夫ですか?つけられたばっかの傷やから、かなり痛むやろ」
景は弥隼の視線が自分の足に注がれていることに気づき、目の前にある彼の肩をパシッと叩く
「なんや」
「大丈夫だよ。弥隼くん、気を使って私の足に衝撃が加わらないように、優しく歩いてくれてたでしょ。ありがとね」
弥隼は景からの感謝に、ため息まじりに微笑んだ
この人.....
素直に心配される気さらさら無いな
「そりゃあ寮母さんの保護者みたいな先輩たちに怒られないように必死でしたよ.....嘘です」
とっさに訂正した彼の冗談に景は
「あの人たちが保護者なんてちょっと嫌なんだけど」
とクスッと笑った
そして
「『先輩たち』だって、結構疲れてると思うんだけどね.....」
と、横の方でいつものように雑談している彼らを見た
弥隼も後ろの気配を感じ取り、景と同じ方を向く
ルークや以倉双子に明るく振舞っている二年生だが、爽馬との戦いで体力を使って疲れていないわけがなかった
しかも、結斗は一番苦しい状況にあるだろう