生徒だけど寮母やります!2

「じゃあ、なんで.....。なんで伊吹先輩が実家に行きたいって言った時、すぐにみんなで行く決心をしたんですか」


弥隼は、無理をしてか笑顔でルークと話している結斗を見ながら景に尋ねた


今日の午前中に実家から帰ってきたばかりの結斗は


夕方になってもう一度実家に帰りたい理由も

経営が一気に傾いた理由も


まだ何も言ってないのだ


さらに今から再び、今度は寮のみんなを引き連れて実家に帰ることを、家に連絡さえしていない


それでも結斗のあの一言で、景が『行こう』と言った理由が、弥隼にはいまいちよくわからなかった


その答えを、景は簡潔に答えた


「結斗の味方だからね」


「え.....?」


「なんでもう一回実家に行きたいのか、目的はよく分からないけど、私も怪我を負って、皆んなも疲れてるこの状況下で、よっぽどのことがなければ結斗はそんなこと言わないと思うし」


「なる.....」

弥隼は、確かにそうだと納得して「なるほど」と言いかけたが


「い、いや、でもですよ、なんで伊吹先輩だけとか、二年生の先輩たちだけで行かないんですか」


そう言って、視線で景を振り返る


「へ..........」


「いや、寮母さんに行くなって言ってるんやないで。ただ、よく先輩たち、怪我した寮母さんの外出を良しとしたなと思って。伊吹先輩なら、『景ちゃんはミヨちゃんとお留守番しててね』とか言いそうやないですか」


景は弥隼の言葉に対して数秒考えた後

「やっぱり?」

と眉をしかめて呟いた


「なんや、寮母さんも思ってたんかい」

弥隼はそれなら話が早いと頷く


確かに、今回はやけにすんなり私も連れてってくれたんだよね.....

怪我してるのに.....


景は片手を顎に当てて、うーんと唸り考えた


「確かにそう。前、生徒会に突撃した時も、狐と対峙して戦った時も、そういう危険なことに私が関わったり無理すると結斗はいい顔しなかったし」

「それ正解ですね」

「でも今回は、何も言わず連れてってくれたんだけど.....なんでだろう」

「 .....さぁ?」


景と弥隼が首をひねって考えていると


「そこそこ何同じポーズし」
ゴゴゴゴガタンガタンガタン

横から、咲夜と電車がやってきた


「あーキタキタ」

「乗ろーー」


待つこと10分

ようやく一同は長らく待った電車に乗り込んだ
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