生徒だけど寮母やります!2
咲夜はフーハーと深呼吸をしてから姿勢を正す
そして
「ん」
と、スマホ画面をスクロールしてから景と弥隼に差し出した
「.....佐原くんって方からのメッセージ?」
「そう、あいつ小高家突撃隊の言い出しっぺ的なやつでさ」
その言葉に大体のことを理解した景は
「あ!突撃隊はどうだったって!?」
と咲夜を見た
「ん.....俺らと違って誰かから攻撃されたりとかは無かったし、普通に爽馬の実家だと思われる屋敷まで着きはしたらしい。あとは読んでみて。弥隼も」
「う、うん.....」
言われる通りに、景と弥隼は頷いてから画面に視線を落とした
〈 ってわけで爽馬には会えなかったけど、爽馬の家で働いてるっぽい一条さんっていうお婆さんが色々教えてくれたんだ。
爽馬はどうやら父さんに半ば何かで脅されるような感じで学校を辞めて、妖術結社に入ったらしい。
それが家のしきたりだから旦那様には自分は何も言えないんだって、その婆さん自分を責めてた。でも、俺らみたいな友達が大勢こうしてあいつの為に家まで来たこと、超感激して泣いてたから『爽馬頑張れ』って伝言は伝えてくれるんじゃないかと思うけど。
お前らと寮母さんはどうだった?一番心配してたお前ら、一瞬でもあいつと会えるといいのにな〉
景は、咲夜のスマホを持つ手に力を込めて目を潤ませる
震える口をぎゅっと閉じて咲夜を見ると、彼は微笑んで
「なー.....そんなん泣くよなぁー」
と景の髪をくしゃくしゃと撫でた
景は言葉にならず、ただコクコクと頷く
爽馬の事を考えて泣いてくれるお手伝いさんが、こっそり自分たち子供に教えてくれた
『爽馬頑張れ』って、大勢の爽馬の味方が彼にエールを送った
佐原くんは、男子寮Bの自分たちが、一瞬でも爽馬と会える事を願ってくれた
爽馬はやっぱり、色々たくさん隠していた
何か事情があったのだ
「先輩.....」
弥隼が咲夜を見て呟く
「ん?」
そして、伏せ目がちに静かに言った
「寮母さんのこと、先輩が泣かせたんやないって早いうちに弁解した方がいいですよ」
「へ.....」
咲夜はそう言われて、若干離れた位置にいるライがこちらを見て手に電流を孕ませているのを確認した