生徒だけど寮母やります!2
しかも今度は、大勢の友達を、そして怪我をしている女子高生を連れて
一同が揃ってビルの中に入ると、エントランスの受付の女性は口をぽかんと開けて結斗を見た
「.....結斗様!?またお戻りにになられて.....って、どちら様ですかその方々は!?」
朝見送ったはずの寮で生活する学生がこんな時間、こんな状況に友達と共にまた現れたのだから、驚くのも無理はない
「.....ほら、いつもみたいにやってこい」
ライが小さい声で結斗を促すと、彼は受付まで行きお得意の王子スマイルで、困ったように女性に笑いかけた
「びっくりさせてしまってすみません。実は僕のクラスの貿易業に興味がある生徒が、この会社で職業体験をしてみたいというので、みんなで父に頼みに来たんです。話はちゃんと家にも学校にもしてあるので大丈夫ですよ」
「え.....あ、そうなんですか.....?.....みなさん勉強熱心でいらっしゃいますね.....」
「はい!将来の貿易関係者として、やっぱ伊吹グループは外せないっすからね!」
「あは、嬉しいよ、咲夜」
結斗の王子スマイルも相変わらずだが
景は貿易業に興味など1ミリもない咲夜の元気な返事も凄いと思う
しかし、女性は腑に落ちていないようだ
.....だって
伊吹グループの株が大暴落したこの状況で.....職業体験の申し込みって.....
さすがに通すには厳しいかな.....
全員がそう思った時、女性は声のトーンを少し落として微笑んで言った
「でも.....そうですね.....。こんな状況だからこそ、結斗様がお友達のみなさんと現れれば、奥様達は元気が出るかもしれません」
その言葉に、結斗は王子スマイルを崩し、切なそうに微笑む
「そうだと、いいんですが.....どうですかね。.....では、また帰る時に」
「はい。承知いたしました」
やさしいお姉さんだな.....
生活が掛かっている社員の人たちだって、きっと伊吹グループのこの状況は心配でたまらないことだろう
「じゃあ、いこうか」
一同は奥のエレベーターへと向かう結斗に続いて、歩みを進めた