生徒だけど寮母やります!2
「..........っ.....」
「景」
一瞬フラリとした景の腕を、ライが瞬時に掴む
「大丈夫、景ちゃん!?」
「景!」
「.....寮母さん」
景の異変に気付いたみんなにも心配され、景は申し訳ない気持ちでいっぱいになった
「うん.....ありがとうみんな。ごめんね。大丈夫なんだけど.....ちょっとあのゲージが見られない.....ごめん結斗、ここにいたくないかも.....」
「そうよね、あれを見るのはつらいわよね。ここにいない方がいいわ」
姉の言葉に続き
「ライ、頼みたい。少しの間、景ちゃんを連れて外の空気でも吸ってきてほしい」
結斗がそう、ライに頼んだ
頼まれたライは、心なしか困ったような顔をして結斗を見る
景はそんな彼の横顔を見ながら
.......あぁ、ライは本当は嬉しいのに、こんな時だから素直に喜べないんだな
と思った
何が嬉しいかというのは
なんだかんだ言って結斗はライを一番信頼しているということで
自分の知らないところで
いつのまにか
二人はきっと背中を預けることが出来るような仲になっていたんだなと
景はこの状況でそんなことを考えていた
それもまた、人がいなければ泣いてしまうかもしれないほど嬉しかった
咲夜が
「景を任せてやる、ライ。こっちはお母さんに聞き出しておくから、30分くらいしたら帰ってこいよ」
と彼に人差し指を向ける
ライは「分かった」と短く言うと景をおぶり
「後は頼んだ」
そう言って伊吹家を出た