生徒だけど寮母やります!2
な、何言ってんだ私.....!
「最後まで言えよ」
至って涼しい顔でジトッと見てくるライに、こんなにドキドキしてるのは絶対に自分だけだと思いながら景は言った
「なんでライは.....私のこと好きになってくれたの?しかも、だいぶ前から.....今日までずっと.....」
語尾を濁し、恥ずかしそうに顔をそらす景
ライはそんな彼女に口の端を僅かに上げて、質問に答えてくれた
「入学してすぐ、寮母が同い年の女子生徒だと知って最悪だと思った。女子は相手の気持ちも考ずに何度も言い寄ったり、うるせぇ声で騒ぐから嫌いだった。
でも、お前がBで食事用意して、部屋掃除して、洗濯して.....こう言ったら景は嫌がるかもしれねーけど、母親ってこんなんなのかなって」
景はライの口からいきなり出てきた『母親』というワードに、閉じていた口をかすかに開けた
ここでライが言う『母親』とは、産みの親のことではない
「冗談とか、俺が自分の親を理解してないからとかじゃなくて、多分本当に俺の母親は俺のことなんか見てない。
そもそも本当の母親の顔も名前も知らねーし、最初からアレは育ての母親だったけど、俺と、アレの本当の息子の弟の扱いは全然違う。
弁当用意してくれるのも、熱を出した時付き添ってくれるのも、ミニカーで遊んでくれるのも、全部家政婦だった。母親にしてもらったこととか、なんもない」
景は何も言えず、ただライの顔を見つめた
親にかまってもらえず、嫌われてると感じて過ごす幼いライを想像する
凄い切ないな、それ.....
自分だったらどうだろう
胸が苦しくて、涙が出た
「あー泣くな。今の話は、母親に愛されたかったとかじゃない。俺にはクソ親しかいないっていう話がしたかっただけだから」
ライは人差し指で景の涙に触れ、それをそっと拭った