生徒だけど寮母やります!2
帰りの電車内
最終的に『月沼が良い人か悪い人か』に辿り着いたこの話は、考えれば考えるほど堂々巡りを繰り返しキリがないので、話題は次のことへと切り替わった
「でもあれだ。月沼君?の母親が関わってたって分かったのはデカイな」
右手でつり革に捕まり左手を顎に当てた市河の発言に、咲夜は
「そう、そうなんだよ.....!」
と反応する
「なぁ結斗?」
「そうだね」
感情を高ぶらせた彼らのやりとりに、月沼の事ばかり考えていた景は顔を上げる
目を点にして彼らを見る景と一年生に、市河が丁寧に説明してくれた
「まず原点に戻るけど、今何が起きてるかっていうと俺たちが『Y』と呼ぶ爽馬達(おそらく妖術結社の奴ら?)が伊吹グループの情報流出を狙って、伊吹家に犬(笠上美音)を送り込んだわけだ。なんで景の姉がこれに関わってるかは聞いてくれんなよ。
それの手伝いっていうかもうほぼほぼ主犯的な『犬を譲る過程』を、魔術系統の家系、月沼がやってる。これってやばくない?妖術結社と魔術系統月沼のタッグじゃん?」
景は説明を聞き、背筋がぞくっと凍る思いだった
色々考えると、まるでパズルのピースがはまっていくように
謎の断片が集まり一致し始める
あれ.....?
「こ.....こんなこと言いたくないんだけど.....」
「うん?」
景のか細い声に、市河が耳を傾ける
「月沼家って.....」
「うん?」
そして景は、今全員が思ったであろうことを言った
「この全ての事件の主犯.....だよね?」
その言葉に結斗は数秒黙って景を見る
そして
「色々当てはまりすぎて、それしか.....考えられないよね」
と頷いた