生徒だけど寮母やります!2

「ひ.....どーい!そのセリフは漫画だとキスで使うんですけど!」


景は弾かれたおでこを抑え、してやったりな顔をするライを非難した


「んなダセェことやるか」


でもまぁ......

ライらしいといばそうかもしれない


余裕を持った表情で濡れた長い前髪をかき上げる彼を見て、景はそんなことを考える



高くて綺麗な鼻


ニヤリと笑うその仕草がよく似合う唇


キリッとしていて鋭い

綺麗な深い青と黒の間のような色をした瞳


つくづく自分が不釣り合いに思える彼の顔を前に、景はなんでもないような振りをするのに必死だ



本当、こんな人が私のことを可愛いだなんてどうかしてる



景は少し俯いてちらりと彼の顔を見ると、そのまま彼の首元に自分の顔を埋めて抱きついた


何も言わず、背中には逞しい腕が回される



「ライ.....私もうどうしたらいいかよく分からない.....」


景の口から出たのは、今までで一番か細い声で吐く弱音だった



「事が大きすぎて、でも私たち子供すぎるよ.....。どうしたらいいんだろう。何が出来る?何も良くならない。何をすれば爽馬も結斗もお姉ちゃんも助かるんだろうって.....ずっと.....」


景の言葉に、ライは


「全部お前が解決しなきゃいけない事じゃないだろ」

そう言った



「1年前、斎藤に対して自分で言ってたこと思い出せ。寮母の仕事は生徒の悩み聞いたり話し相手になったりして、生徒の不安をなくすことだって言っただろ。

結斗もかなりお前の行動に助けられてるだろうし、爽馬だって俺たちがあいつの実家に行ったこと、絶対喜んでると思ってる。俺は」



二人の顔を思い浮かべ、景は彼に抱きつく手をグッと握りしめた
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