生徒だけど寮母やります!2
妖術結社に来てから一週間が経った
爽馬は特に何をするでもなく、部屋に閉じこもるような毎日を送っていた
部屋を出るのは食事や風呂の時のみ
そんな中でも、会話を交わせる程度の知り合いが1人できた
「爽馬くん、ウィス」
「......アカギさん、部屋に入る時はノックして下さい」
アカギは爽馬と同じく妖狐で、二年ほど前から妖術結社で仕事をしながら生活している20歳の男性だ
彼は爽馬の冷たい視線を無視して部屋に上がり込むと、机に置いてある本を手に取った
「なにーー古文問題集?お前やば。いつも部屋にいると思ったら勉強してんの」
「別に暇だから」
「頭良さそう.....てか何だっけ古文って.....ありをりはべりいまそかり、だっけ?」
「頭悪そう」
アカギはパラパラと参考書を捲っては首をかしげると
「分からん」
と最終的に机に放り投げて、畳に腰を下ろした
「毎日勉強してんの?」
「まぁ」
「なんか、お前健気だな。俺なんか今や毎日ソシャゲのATMっすよ」
「画面の中の彼女ですか」
あっけらかんと言うアカギを、爽馬は冷めた目で見る
「で、何の用」
話を促すと、アカギは急に真剣な顔つきをして
「今日の夜8時から、狐の密会だお前さん」
と肩に手を置いた