生徒だけど寮母やります!2
人が犬に頭を下げるのもおかしな光景である
景はぽんっと人間の姿に戻ると、ふぅ、と一息ついてから首を振った
「謝ることじゃないよ。それに、ここでは私は先輩じゃなくて寮母だから、景先輩なんて呼ばれるとくすぐったいな」
そんな景に満宵は
「じゃあ、ボク、景ちゃんって呼んでもいい?」
と目を輝かせた
「もちろん!」
そんな光景を、結斗は嬉しそうに、そして少し寂しそうに見つめている
「‘‘景ちゃん”はお前だけの呼び方だったけど、残念だったな」
横にいたライが正面を向いたままそう呟き、結斗は肩をすくめた
「羨ましかったなら君もそう呼べばいいのに?」
「は?」
ライは横目で結斗を睨んでから、また視線を前に戻す
「でも、異様に寮母さんがこの寮の人たちと仲がいいから、それに見た目も若いし。ちょっとそんな気はしてたんだよねー」
景は千加にそう言われ、「そうだね、私の見た目なんてまだ子供だし」と笑った
「いやー、中卒でお金がなくて働いてる子なのかとか考えたんやけど」
弥隼の言葉に、市河が「うーん、そりゃ苦労人だ」と唸る
確かにそれもあり得ない話ではない
「でも、あながち間違ってないよ」
「せやな、お金がないわけやないけど、生徒やりながらこの歳で働いてるんやし」
千冬と弥隼がそんな会話を交わしてる時