生徒だけど寮母やります!2


「ハナさん」


爽馬の問いかけに、ハナは慌てて首を振る


「私みたいな年上、やめておいた方が良いわよ。いきなり知らない環境で生活する事になって、精神的にも辛い時に私と出会って、爽馬君はきっと自分の気持ちを勘違いしているのよ」


諭すような口ぶりで断られ


「違います。この気持ちは、初めてなので」

と、彼女の目を見つめて言う


『恋する男の子』が上手くできているか心配で、内心ずっと彼女の反応を伺っていた


ハナはそんな彼に戸惑っている


「それにね爽馬君、私狼女だし、本来なら妖術結社にはいちゃいけないような人間でしょう。もし爽馬君と恋人になったりしたら、役員の女の子どころか、あなたのお父さんにだって睨まれちゃうわ」


自分と爽馬とはとても住む世界が違うのだと、柔らかく爽馬を突き放すハナ


それでも爽馬は下がろうとはしなかった


「だから、逃げようって言ったでしょう」


「..........」


しかし逃げるということは、ハナが爽馬の父親を裏切ることになる


自分を選んでくれないのは

やはり父親への忠誠が強いからか


ハナは返答に窮していた


受け入れてももらえないし.....

拒絶するのも無理ってことか.....


「いいです」


爽馬が無表情でいうと、ハナはハッとして顔を上げた


諦めてくれるのか

一瞬そんな希望を宿した瞳をする


しかし


「振り向かせてみせます。覚悟、しておいてください」



そう言ってその場を去る爽馬に、やはりハナは何も言えずにその場に突っ立っていた


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