生徒だけど寮母やります!2
その日
爽馬は久しぶりにスマートフォンの電源を入れた
友達の連作先も、友達から勧められてインストールしたアプリも、全て削除済みであるそのスマートフォンの画面は電源を切る前と何も変わらない
爽馬は初期設定そのままのメニューから電話のキーパッドを表示させると、とある電話番号を入力した
〜♪
スマートフォンを耳に当てると、軽快でシンプルな音楽が流れ出す
数秒後、電話が繋がり
爽馬は珍しく緊張しながら
「Hello」
と挨拶をした
電話の向こうからは、男性の流暢な英語が聞こえてくる
『Hello.This is MagicAssociation.May I ask who’s calling, please?』
(はい、MagicAssociationです。どちらさまでしょうか?)
「I'm Soma Kotaka」
相手の問いかけに、爽馬は慣れない英語で答えた
電話の先は、アメリカのカリフォルニア州に拠点を置くMagicAssociation本部
『Oh,ソーマ、コタカ?アナタ日本人の名前ですネ?』
男性の日本語はカタコトだったが、親しみやすそうな声に爽馬は少し肩の力を抜く
「日本語で大丈夫ですか?」
『Yes.ダイジョウブですヨ。少しーーヘタかもしれませんガ』
「助かります」
MagicAssociationの役員は、電話応答係ですら普通に日本語にまで対応できてしまうらしい
ポテンシャルの高さに内心感嘆しながら、爽馬はなるべく分かりやすい日本語で要件を話し出した
「急でごめんなさい。助けて欲しいんです。ここしか.....もう頼れる場所がなかったんです」
『ワタシタチに、助けて欲しいんデスカ?詳しく?』
男性は意外にも子供の言葉に真面目に対応してくれる
この機会を逃すまいと、爽馬は準備していた言葉を言った
「日本に、妖術結社という組織があります。知っていますか?」
『Yes.』
「私立魔術妖術高校という高校の魔術科の女子生徒が、妖術結社に狙われているんです」
その言葉に、男性は戸惑いながら
『妖術結社はそういうカンジ、darkな組織だったカナ?』
と尋ねた
「違います。でも、裏で一部の人間がそういう事を考えている組織なんです。これは、僕が妖術結社側の人間だから知っている事です」