生徒だけど寮母やります!2
それから爽馬は、ルークが自分より1つ年下であることを知り
新入生として私立魔術妖術高等学校へ入学する彼に、景のいる男子寮Bに入寮することを頼んだ
彼ははじめ、どうすれば男子寮Bに入寮出来るのか不思議がったが、それはルークの素性を校長だけに明かしておけば恐らく可能であると伝えた
その際
申し訳なく思いつつ、ライの家のことや結斗の家の伊吹グループのこと、そして自分だけが勘付いている咲夜の病気のことなど、爽馬はルークを信頼して知っていることを全て話した
これで、景が安全に暮らせるように
藤樫ルークは静かに耳を傾けて、たまに相槌を打ちながら話を聞く
そして最後に、こう尋ねてきた
『.....笠上景は、あなたのガールフレンドか何かなんですカ』
その質問に、爽馬はスマートフォンを握りしめたまま一瞬硬直する
心臓がビクリと跳ねて、口元に手を当てた
確かに.....
こんなに必死で景を助けて欲しいと頼んでたら、そう思われても仕方ない.....
「違います.....」
電話越しのルークは、否定されて決まり悪そうにハハと笑う
『.....じゃあ片思いってやつですかネ』
冗談めかして言うルークに、爽馬は何も言えずゆっくりと視線を落とした
「片思い.....ですか.....」
淡い記憶を振り返れば、いつも学校では自分の周りの女子たちがその言葉で騒いでいた
けれど
彼女たちは何が楽しくてそんなに騒ぎたいのか、興味もないし理解もできず
それは自分とは無縁の言葉だと思っていた
自分は知らなかったのだ
「だとしたら」
今ここで、ようやく
「それは一生続く‘‘片思い’’ですね」
‘‘この気持ち’’の素晴らしさを知った