生徒だけど寮母やります!2
景がいつも通り早朝から男子寮Bへ行くと、既に何人かが起きて共同リビングに集まっていた
「景ちゃん、おっはよーっ」
「ミヨちゃん!?お、おはよう!」
リビングに入るなりいきなり抱きついて来たのは満宵
「今日は体調良いの?」
「うんっ、今日は朝から身体の調子が良かったんだっ」
嬉しそうに報告してくれる満宵に、景は「そっかそっか」と頬を緩める
普段朝から咳き込んでいることも少なく無い彼が今は幸せそうで、景は満宵を抱きしめるとサラサラと彼の髪を撫でた
「はい景ーー!そいつはれっきとした男でーす!絵面的には合法に見えちゃうかもしれませんが、それはセクハラですよミヨちゃん」
「さっ、咲夜?」
景の腰に腕を回す満宵は、ダイニングテーブルに腰掛けていた咲夜にビシッと指差し咎められる
ムッと満宵は眉根を寄せると
「朝からうるさいなーっ。先輩たちだって、景ちゃんに抱きつきたいならそうすればいいと思うよ?それにセクハラじゃないからっ」
と頬を膨らませた
しかしそれもつかの間、咲夜の後ろから歩いて来た市河に、いとも簡単に引き剥がされてしまう
「うわあーっ」
「大人しく離れろー.....いや.....景足を怪我してるからさ。負担かけないように。てかミヨちゃんよりセクハラしてる人いるけどな.....」
「あ.....痛かった?景ちゃん」
「ううん、全然!大丈夫だよ」
市河は満宵に対して明るく振る舞う景にクスッと笑うと
「包帯取り替えんぞー」
と、手をヒラヒラと招く
「あ、ありがとう」
「......いっちーはいつから救護班になったんだろうね」
それまでダイニングテーブルに座っていた結斗は、市河について行く景の横に来ると、「ね?」と微笑んだ
「あ、おはよう結斗」
「おはよう景ちゃん」
そして歩きながら景の肩を抱くと、顔をぐっと近づける
彼の石鹸のような髪の匂いが、景の鼻をくすぐった
「ゆ.....」
「血が出たら、また頂戴ね?」
わっ.....!!
耳元で囁かれる、いつもより低い声
「そこ!聞こえてますけど!?残念ながら景の傷はもうカサブタなので血は出ません。散れ!」
「あははっ、地獄耳なんだよなぁ、いっちー」
そんないつもと変わらない光景を、千冬とルークはホッとしたような顔で、ソファに座って眺めていた
「朝からうるさいよね」
「haha,じゃあ朝食の時間になるまで部屋にいれば良かったのに、千冬?」
「ル.....ルークこそ、いつも朝はギリギリまで部屋にいるだろ?」
「........」
「........」
お互い少し沈黙してから
二人は顔を見合ってフハッと笑った