生徒だけど寮母やります!2

『そー言い切れるの千冬?‘‘月沼先輩”がグルだって可能性も十分あるでしょ。結斗先輩と表面上仲よーくしてるのかもよ』


心を痛めたばかりの結斗には、誰もが少し鋭すぎる発言ではないかと思う反面


あまりに可能性のある話で、他の誰もが言えなかった千加の言葉



結斗は小さくハッとして千加を見てから、嬉しそうに頷いた


「そう、‘‘可能性の話’’、だもんね。この件にまだ高校生で寮住まいの月沼が関わってるっていうのも考えにくい部分はあるし。でしょ?」


有姫は結斗に顔を向けられ


そして優しく微笑まれて


「そ、そう.....かしら.....」

とたじろぐ


「確かに、クラスの友達を疑うのは良い気分じゃないけれど.....

でも.....伊吹君が可哀想で.....。同情みたいに聞こえるかもしれないけれど、やっぱり伊吹君の立場になって見ると辛いわ。なんでこんな不幸な偶然が重なるのかって、何ともやるせなくて.....つい.....イライラしちゃうのよ」


感情が先走り、月沼を疑いそうになる自分にため息をつく有姫


そんな彼女の背を、景は優しく撫でた


市河が言う

「俺たちも、最初はそう思っちゃったよ。でも、爽馬の家に行くように背中を押してくれたのは、波屋さんと月沼君だったんでしょ?」


「.....ええ、月沼君はあなたたちが小高家に向かった後も、ずっと心配して気にしてたわ」


有姫の言葉に、一年生は顔を見合わせ

二年生は自分たちの味方でいてくれた月沼の顔を思い浮かべる


景は目を伏せた有姫を見た


「うん.....だから本当のことが分からない今は、私たちも月沼君の味方でいよう。違っても、そうすれば絶対に後悔したりしないから」


ライはそう言った景の頭に、何も言わず肘を乗せる


結斗と咲夜、ルーク、弥隼も頷き



景は改めて、本当のことが分からない今は月沼を信じていようと心に決めた

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