生徒だけど寮母やります!2
先代を探します!
という訳で、先代の保健室の先生を探すことになった
けれど、先ほど決めた
『無理はしない』
これも守る
取り敢えず日曜日は各々ゆっくり休もうという話になり、それぞれが部屋に戻って自分の時間を過ごすことに
景も自分の宿題を片付けたり、洗い物、洗濯物をしたりとあまり身体が休まることはなかったが
むしろいつものルーティーンとして仕事に従事するのもまた、寮母が身体に染み付いた彼女の心を癒すのだった
「よ.....いしょ.....」
日差しが強い寮の外
重量的には重くはないが、大きくて持ち上げにくい濡れた風呂マットを物干し竿にかける
もう少し背伸びをしなければ厳しいか
そう思ったその時
手に感じる重量感がゼロになり、ふわっとマットが持ち上がる
「あ.....」
横を見上げると、結斗が景の持っていたマットを軽々と持ち上げ竿にかけ、きょとんとする景ににこりと微笑んだ
「ありがとう結斗」
「ううん、どういたしまして景ちゃん」
「一瞬魔法が使えちゃったかと思ったよ」
ライじゃあるまいしね、と笑う景の頭を、結斗は細く長い指の甲でサラサラと優しく撫でる
「女の子だし怪我してるんだから、力仕事するときには声かけてくれれば飛んで行くよ?」
「ありがとう。でもこれぐらい、力仕事ってほどじゃないって」
あまりにも優しく柔らかな視線を感じるので、いつものことながら相当女の子として扱ってもらえているんだなと申し訳なくなった
「ここ何日暑い日が続いて、こんなに水吸ったマットもすぐ乾いちゃうんだよ」
「確かに毎日洗濯日和って感じだよね。またすぐ取り込むなら、よかったら声掛けて?」
「ありがとう、そうさせてもらうね」
空になった洗濯カゴが、干す衣類はもうない事を告げる
「これで仕事はひと段落?」
太陽の光が照りつける中、眩しそうに手をかざした結斗に尋ねられ
「洗濯はね」
と答えながら、景は片手でカゴの片方の取っ手を掴まえた
「さっきまたミヨちゃんが体調悪くしちゃったみたいで、彼にしては今日だいぶ朝から飛ばしてたでしょう?心配だからついていてあげたいし、まだ薬も.....」
先ほどの花のような笑顔とは打って変わって、顔を曇らせ心配そうな表情の景
「そっか.....じゃあ、きっと景ちゃんを待ってるね。早く行ってあげて」
結斗は儚げに、眉尻を下げてふわりと微笑みを向けた
.....結斗?
「う、うん。行ってくるね」
「いってらっしゃい」