生徒だけど寮母やります!2


ここに来た時から、お前らが眩しくて.....


自分の足元が暗いんじゃなくて

お前らが眩しいんだ


「そう?それならそれに越したことはないけどね。いっちーのことも、怖いし」


「俺が?」


「うん」


俺は予想外の言葉に、僅かに眉を潜める


今回ばかりは言葉を詰まらせるというよりは、言葉を失ったという方が正しいだろう


本気で言ってんの?


顔で伝えた俺に、結斗が笑った


「でも、誰が敵だとしても負けるつもりはないんだ。それを自分に言い聞かせるために、景ちゃんに言ったのかもしれない」


相槌代わりに目線だけで俯いた俺を見て、結斗は「ね、焦ってるでしょ?」と少し肩をすくめる


そして話はそれで終わりだと思ったのか、俺の横をするりと通った


「すげえな、お前」


僅かに顔を後方へ傾け心から送った賛辞に、結斗は「えぇ?」と息を吐き出して笑った


そして、こちらをくるりと振り返る

「多分、そう思ってないと上手くいくものもいかないんだ。

俺は誰に負けるつもりもない.....ライにもね。君も参考にしてくれて構わないよ、ヒナちゃん?」


何でお前はいつも、俺のこと揺さぶるようなことばっかり言ってくるんだ?


そう言いたいのをぐっとこらえて、ムカつくぐらい清々しい顔をした結斗をジトリと睨んだ


「何だその奇妙な呼び方」

「はははっ」


何がおかしいのか笑いながら、結斗は俺の肩を叩く


「好きだよ、いっちー」

「ははっ.....きも」


やはり彼はかっこよくてムカついたので

俺にまで向けられた好意を一言で片付けてやった
< 321 / 547 >

この作品をシェア

pagetop