生徒だけど寮母やります!2
それから2日後、水曜日
文化祭当日がやってきた
「マスター、彼女にも同じものを」
景たち2年4組の出し物であるバー
その名も『魔界Bar』は、予想以上の盛り上がりを見せていた
「どうぞ」
カウンターにて注文を受けた結斗が、オレンジに白濁した液体の入ったグラスをスッと差し出す
カクテルの名称は、客からの注文通り
『彼女にも同じものを』
である
両隣が男子生徒である男子生徒の客はグラスを受け取ると、『彼女にも同じものを』を一気に飲み干した
そして空になったグラスをゆっくり置く
そんな様子を、カウンターの奥にある『仮設キッチン』の垂れ幕の奥から、景と鈴菜は見ていた
「''彼女にも同じものを''って商品名、なかなか言うのが恥ずかしくて悪意あるよね」
「考えたのは果子やったか.....。ジンをオレンジジュースで割ったオレンジブロッサムっていうカクテルをイメージしたらしいで」
「ふーん」
カクテルについてはよく分からなかったが、景は取り敢えず相槌を打っておく
もちろん高校の文化祭で本物のお酒を提供するはずもなく
客たちが飲んでいるのはどれも、お酒をイメージしたジュースだ
ただ、ちょっとした仕掛けが施されている
2人は客の観察を続けた