生徒だけど寮母やります!2



「ますらー、きいれよー」


先ほど『彼女にも同じものを』を注文した客の隣にいた男子生徒が、舌ったらずに結斗に話しかける


「なんでしょう」


微笑んで対応されると、彼は深く頷いて語り出した


「女ってのはぁぁ、どいつもこいつもー、どいつもーこいつもーーね?そうらろー?」


景の横で垂れ幕の隙間から男子生徒を見ていた鈴菜が声を潜めて「何がだよ」と毒づく


「あの人は確か『いつもの』を頼んだ人だったね」


景が言うと、鈴菜が頷いた



「見事に酔ってんなぁ。こんなに自然に酔っ払うとは.....」


実はこのお酒、2年4組の生徒たちによって「酔ってしまう」細工が施されているのだ


魔法、幻覚操作、音、匂いなど


生徒たちがあらゆる方法を使って、まるでアルコールが脳を麻痺させてしまったような感覚を作り出す



店から出るときもまた、音属性の魔法使いが笛で演奏する「目覚めの音色」を聴いて帰って貰うというシステムだ



「ふにゃーー」


結斗はアイスペールから氷を取り出しながら、相変わらず微笑んで、結局女について語れなかった男子生徒を見ている



そこに別のクラスの女子たちがやってきて、酔っ払った男子生徒の頭を丸めた文化祭パンフレットでスパコンと叩いた



「三原!酔ってんならその席代わってよね!」


「いつまでも特等席独占しないでくれる!?」


結斗は彼女たちに顔を向けると

「草薙さん、水谷さん、阿賀野さん。いっしゃいませ」

と名前を呼んだ


去年1年5組の元クラスメイトだろう



「結斗くんバーテンの衣装やばい!」


「写真いーい!?」



かわいそうなことにほぼ強制的に立ち退きを強いられた男子生徒は、フラつきながら出口へと向かっていった

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