生徒だけど寮母やります!2






先代の保健室の先生


見た目はだいたい85歳

白髪を綺麗にまとめたふくよかな女性だった


彼女は結斗以外に誰もいない生徒会室の椅子に腰掛け、お茶をすすっている


金色フレームの壁掛け時計の針が10時58分を指したとき


景、咲夜、ライ、市河が到着すると、彼女は彼らに気づいて小さく頭を下げて微笑んだ


「初めまして、2年4組の生徒の笠上景と申します」

「同じく、火野ライです」

「2年1組の生徒、市河日向といいます」

「同じく、布川咲夜です」


4人は生徒会室に入ると先代に近づき、自己紹介して頭を下げる


「本日は、文化祭にお越しいただきありがとうございます」


景のお礼に先代は目を細めて

「小田千代と申します」

と挨拶すると、ちらりと隣に座る結斗を見た


「彼らも生徒会の方?」


質問され、首を振る結斗


彼は近くの椅子を引き寄せ自分の横に市河、景、ライ、咲夜の順で半円を描くように腰掛ける4人を横目に


「実は僕たちは男子寮Bの生徒で、小田さんに尋ねたいことがあって、どうしてもお会いしたかったんです」

と説明した


途端、小田はポカリと口を開けて

「あらそうなの?」

と上品な声をわずかに震わせる


そして可愛らしい笑い声をあげると


「実はね、10年前くらいから文化祭の案内状は届かなくなっていたのに、今年急に電話でお呼ばれしたから驚いたのよ」

と言った
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