生徒だけど寮母やります!2
そう言いながら、小田は視線をライへと向けた
「火野ライくん。久しぶりね、17年ぶりかしら。一度だけ、産まれたばかりの、本当の孫のように可愛くて小さいあなたを抱っこさせてもらったわ。大きく、立派に育ったわね」
それを聞いて、景は視界がぼやけていくのを感じた
目尻にたまっていく涙が頬を溢れていくのに、そう時間はかからなかった
心臓の音が聞こえそうなほど、鼓動が大きくなる
.....保健室の先生は、本当のライのお母さんってこと?
なぜ、どうして、どういうこと、そんな疑問よりも真っ先に
ライが愛されて生まれてきたことを感じて、心が嬉しさでいっぱいになる
当の本人は、目を大きく開き小田を見つめていた
市河は驚いたように口元に手を当て
咲夜は唇を浅く噛み目を潤ませ
結斗はライの肩に手をあて微笑んでいる
「俺は何も.....知らなかったのか.....」
ライは目を瞑ってそう呟いた
そして、ゆっくりと瞼を持ち上げて切なそうに微笑む
小田はライの両手を自分のそれで包むと、彼の目をじっと見た
「あなたの名前《ライ》は、ただ雷という意味ではないのよ。あなたのお母さん、九雷光(ヒカリ)さんの光、英語でray(レイ)をローマ字で読んでra-y(ライ)。例え逢えなくても、あなたはいつまでも私の大切な光だと、そういう意味が込められているの」