生徒だけど寮母やります!2
しかしライは何かを言いかけて「.....いや」と首を振り、結局彼はその先を続けなかった
「ライくん」
小田の呼びかけに、ライは顔を上げる
「この学校で、お母さんと初めて会った時のことを覚えている?」
問いかけに対して頷いたライは、隣に座る景を見た
景はどうしたの?と言いたげな視線を返してから、彼に見られた理由に気がつく
「あ、そういえば一年生の頃、保健室にいる私を心配してきてくれたのが最初だったね」
「あぁ、お前が犬姿で波屋有姫軍団のリンチに遭って流血した後な」
「流血て.....」
大袈裟な、と苦笑いする景の横で市河がウゲッと顔をしかめる
「波屋?リンチ?流血?景とあいつってもともとヤンキーなの?」
結斗も視線だけで斜め上を見ながら「あぁ」と頷くと
「入学してずっと最初の頃の話だね。確か俺が景ちゃんの太ももの.....」
と話し出したので、景は「あぁああ」と大きい声を出してその先を止めた
そしてきょとんとする小田に花のような笑顔を向ける
「太もも.....?」と愕然と消え入りそうな声で呟く市河を余所目に、ライは口を開いた
「思い出した。俺が保健室にいる景を訪ねたら、あの人はすぐに出て行った」
それを聞いた小田は「そうだったでしょう」と笑う
景もそれを聞いて、犬嫌いの有姫に蹴られ、保健室にお世話になった日のことを思い出す