生徒だけど寮母やります!2
文化祭まわります!
そんなこんなで1年1組、千加のクラスに来た景と果子
そこは「魚屋を営むろくろ首が首を長くして待った結果、売り物の魚が鯛焼きになってしまった」というストーリーのカフェだった
非常に謎設定だ
「はい寮母さん来てくれてありがとう」
「ありがとう千加」
景はレジ係の千加から2つの鯛焼きを両手で受け取る
すると手元の彼らがわちゃわちゃと甲高い声で交互に喋り出したので、驚いて落としてしまいそうになった
「お買い上げありがとう」
「ありがとう」
「俺ら売れ残った魚」
「魚界食物連鎖上級者の鯛だぞ」
「鯛なんだぞーっ」
隙を与える暇のないおしゃべりな鯛(焼き)を景から1つ受け取り、果子も口を丸く開ける
「ひゃー、うるさい鯛だね」
「ごめんねー、割ると黙るから」
千加はカウンターに肘をついてジト目で鯛を見ると
「お客さんの手元に渡ると喋り出す仕組みなんだよね。たまに不快な発言をするけど、その場合は割っちゃって」
と説明した
「割らないで!」
「割らないでよ」
「それよりろくろ首はどこだ?」
「奴はマグロばっかり売るんだよ」
「鯛焼きくんも泳ぐわけだよ」
「毎日〜毎日〜」
景は何だか割ってしまうのも可哀想な気になって苦笑いで千加を見る
彼は「割っちゃいな」と言わんばかりの涼しい顔をしていた
「ところで他のみんなのクラスには行ったの?」
「ううん、千加のクラスが最初だよ」
景の答えに千加は「そう」と頷くと、景の隣にいる果子を見て
「じゃあ、せっかく友達と2人だし次は3組に行くといいよ」
と次の行き先を勧めてくれる
丁度景も、千冬と弥隼のクラスである3組に行こうと思っていたところだった
「千加、3組行ったの?」
「行ったよ。千冬に来るように頼まれたからね。なかなか面白かったから勧めておく」
「分かった、行ってみる!」
「うん」
嬉しそうに答える景に千加が頷くと、またもや鯛焼きたちは交互にに喋り出した
「お勧めだよ」
「お勧めお勧めー」
「何がお勧めー?」
「鯛の荷造りだよ」
「荷造で食われりゃ本望ってとこさ」
「荷造られ鯛」
「なのに鯛焼きになっちまったよ!」
「世も末だー」
「はー来世来世」
やはり彼らはちょっと煩いので、早速割らせてもらい食べることにした