生徒だけど寮母やります!2
さて、鯛焼きも食べ終わり
___彼らが今は自分の胃袋の中だと思うと申し訳ないような気もするが
次に2人は千加にも勧められた3組へと向かった
景は3組の前で立ち止まり、外装を見て足を止める
その名も『フレンドシップ廃墟』
ネーミングとは裏腹に親しみやすさも何もない薄暗くおどろおどろしい外装に、果子も目を輝かせ息をのんだ
「ほぉぉ無駄にリアルで怖いね!これホラー系?」
「そうみたい.....」
景はボロボロに廃れた再現が巧妙な廃墟に入って行く人たちを見て頷く
「面白かったよ」なんて千加に勧められた事もあり、楽しい感じのアミューズメントかと思っていたが
「まぁ廃墟って言ってるし、廃墟がポップで楽しいわけないよなぁ」
そう独りごちる景に果子は「まー大丈夫だって」と笑った
その時だった
「壺谷発見!先生が学級委員呼んでたから行ったほうがいいよ」
そう声をかけてきたのは『魔界Bar』の看板を掲げた同じクラスの男子
壺谷(ツボヤ)とは果子の事で、去年から引き続き学級委員を引き受けている彼女は「エー」と嫌そうに顔をしかめた
「水穂ぉぉ」
「呼んでたのは斎藤ちゃんだよ」
「斎藤ぉぉぉ、あーもー行けばいいんでしょ、景ごめん私行って来るね」
「ええーっ」
果子は「じゃ」と片手を上げてからダッシュで廊下を走っていく
景は小さくなって行く彼女の背中を見つめながら
.....学級委員も大変だなぁ
と心の中で呟いた