生徒だけど寮母やります!2
語ります!
1時間後
寮の仕事をこなすためみんなより早く女子寮に帰り、その後男子寮Bへと来た景
ドアを開けて暗い玄関の電気をつけると、ふと気になって生徒用の靴箱を開けた
咲夜なんかはいつも靴は玄関に脱ぎ捨てる主義だが、結斗は違う
景は靴箱に一足だけスニーカーが揃っているのを見つけ、はっと息を飲んだ
結斗だけ帰ってる.....
嫌な予感に乱暴に靴を脱ぎ捨て、前のめりになりながら寮に上がる
景はスリッパも履かず足音を立てながら一気に個人の部屋へと続く階段を上がると、二階廊下の電気を付けて結斗の部屋の前で立ち止まった
ドアの向こうには、恐らく結斗がいる
彼も私の帰寮に気づいたはずだ
景が息を飲んでから二回ドアをノックすると、中から「景ちゃん?」と声が聞こえた
「うん.....ただいま、結斗」
直後、ゆっくりとドアが開き暗い部屋から結斗が出てくる
その曇った表情に景は息を止めると
「結斗.....うそ.....?」
と掠れた声で呟いた
しかし
「分からない.....分からなかった」
「え?」
「月沼には.....聞けなかったんだ」
その言葉を聞いて、景は思わず泣きそうになる
そして自分の首に腕を回し抱きしめてきた結斗の背に手を当てると
「そんなに苦しむほど、無理して聞く必要ないよ結斗」
と優しく、しかし切に訴えた
「ごめんね頑張れなんて言って。無理することないし、友情にはいつも正しく向き合わなきゃいけないわけじゃないよ」
自分たちの応援が
月沼を信じると誓った全員の言葉が
実際は一番月沼を信じたかった結斗を苦しめていたとしたら
そんなの本末転倒だ
景は自分を抱きしめる結斗の腕により一層力が入ったのを感じながら、彼への申し訳なさでいっぱいになった