生徒だけど寮母やります!2
「あっ、そういえば、先輩たちのクラス行きましたよっ」
頬を赤く火照らせ満宵が報告すると、一年生は「俺も」「僕も」と反応する
「へぇ、ありがとう。俺も千加ちゃんの所の賑やかなたい焼きは食べたよ。でも他はちょっと覗いただけ。廃墟とかレーザーガンとか挑戦したかったんだけど、ごめんね」
謝った結斗に一年生は嬉しそうな顔してから首を振った
「むしろよく覗きに来れましたね。魔界Bar行ったんですけど、先輩たち集客にこき使われて大変そうでした」
「本当にな」
千冬の言葉に新たに湯船につかりに来たライが座った目をして賛同する
恐らく女性客の取り合いの対象となり、相当働かされたのだろう
色々察して苦笑いする一年生に結斗は
「Barどうだった?」
と優しい表情で尋ねた
「すごく先輩方に囲まれました」
「やたらと酒勧めてきてむしろどれ飲めばいいやらー」
「あまり酔わなくテお姉様方をがっかりさせちゃったみたイ」
「でもいっぱい触られて酔いそうだったよっ」
一年生の解答に結斗はその様子を想像し、言葉を失ってから「ごめんね」と震える声で謝る
「でも先輩たちのバーテンダー姿見れたので超満足ですよッ」
しかしながら全く気分を害した様子もなく満宵が笑顔を見せ、結斗はひたすらに彼の頭を撫でた
「あの、先輩、頭が、とれそうっ」
「そういえば僕たちの廃墟に景来てくれてたね」
そう言って弥隼に話しかけたのは、彼と同じクラスで『フレンドシップ廃墟』を運営したクラスの生徒である千冬
最後に湯船に入ってきた咲夜がそれを聞いて
「それ俺行けなかったけどなかなか怖かったって友達が言ってた」
と話に加わった
「えぇ、景ちゃん大丈夫だったの!?」
「大丈夫だよ寮にいただろ」
大事故に巻き込まれた友達を心配するかのような結斗の反応にライが毒づく
すると弥隼が思い出すように口を開いた
「俺らは裏方だから話しかけへんかったけど、えらい美女と一緒におって」
それを聞いて満宵も「そうだよね!?」と興奮気味に口をはさむ
みんなの視線を集めると満宵は続けた
「僕も景ちゃんが僕のクラスのレーザーガンに美女と来てるのを見たんだよッ。いつも僕、景ちゃんの友達の話とか聞くんだけどっ、その人の話は多分聞いたことなくて。しかもスッゴク強かったよね、ねっルーク!」
「エ、うん?」
戸惑いながらルークが頷くと、結斗とライが目を合わせる
「あいつに美女の友達なんかいた?」
「九雷さんと柊ちゃん、波屋さんは顔知ってるし違うよね?」
二人は美女の正体に見当がつかず、しばらく黙り込んで考える
そんな会話を黙って見ていた市河は、なぜか冷めた視線の咲夜とルークと千冬と目が合ってしまい、咄嗟に逸らして上を向いた