生徒だけど寮母やります!2

「あたりまえでしょ、景ちゃんのためなら一瞬で何処へでも飛んでいくよ」


そう言いながらパチンとウインクを飛ばす結斗に、景は顔を赤らめる


「口説いてねぇではよ行けやクソフェミニスト会長よぉ」


「ライ.....それ若干クソフェミニスト会の会長みたいに聞こえてるからな」


「日向の言う通りだよ。千冬君とルーク君呆れてるってば」


名前を出されてサッと顔を逸らした一年生2人に、ライが冷たい視線を送る


そんな彼の走る横顔が涼しくて

思わず景は数秒見つめてしまった


魔法使いは何でも出来てズルいなぁ.....


今頃咲夜たちも小学校へ向かって走っているだろうか


そんなことを考えているうちに目先に年季の入った校舎が見え、景は息を飲む


「ここに.....」


お姉ちゃんがいるかもしれない


いて欲しい


走りながらみんなと目を合わせ、頷き合う


そして校門を通り抜け、小学校に足を踏み入れた


校舎の前

広いグランドには誰もいない



けれど

角にそびえ立つ大きな幹の木の下に


人影があった


「誰かいる?いっちー、あれ視える?」

「あれってどこ結斗。.....あ、あれか?」


そう言って立ち止まり目を凝らす市河


「んー誰かいるけど.....女っぽくないぞあれ.....」


初めはそう言った彼だったが、その後すぐに目を大きく見開いた


唇を震わせながら

「違う.....!!」

と声を出す



「え.....先輩?」

「なに日向」

「何だ」


そして、その人影を見据えたまま


掠れた声で呟いた



「爽馬.....」


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