生徒だけど寮母やります!2
「何で.....」
未だ何が起こっているのか分からない様子の爽馬の前に、さらに懐かしい顔が現れる
「「爽馬.....!」」
「いっちー.....ライ.....結斗.....」
さらにその後ろには何人か知らない人たちがいた
「会いたかったよ、爽馬。まったく君は、心配ばっかりかけて」
柔らかく微笑んでそう声をかけながら、結斗は景の横にしゃがむ
「もうここまで来たんだから潔く諦めて、逃げ出そうとしたりすんな」
相変わらず言い方はキツイけれど優しさを含んだライの言葉に、市河も「うん」と頷いた
爽馬はようやく状況を飲み込んだのか自分に抱きついたままの景を見つめ、その背に恐る恐る手を当てる
やはり感情を顔に表すことはなかったが、その顔は心なしか泣きそうに見えた
「で、何でお前ここにいた?俺ら笠上美音からメールがきてここにこいーって言われたんだけどさ、本人どこよ」
不思議そうな顔で市河が尋ねると、爽馬はハッとした顔をする
「ハナさん.....!」
彼の口から出た名前を聞いて、景は誰にも見せずに顔を歪めた
「やっぱり.....ハナなんだ.....」
「.....え.....」
「それで爽馬、ハナさんもとい笠上美音は何処にいるか知ってる?」
結斗に尋ねられ、眉をしかめる爽馬
しばらく何か思案する様子で、その顔には焦りが浮かんでいた
「まさか」
そう言ってケータイを取り出すと、新着のメールを開く
爽馬から離れた景の目にも、その内容が入った
『私は妖術結社を出ること決めたよ。
頑張れよ、爽馬君! 笠上美音』
「ハ.....」
ハナからではない
もう妖術結社とは見切りをつけた
笠上美音からのメッセージだった