生徒だけど寮母やります!2
それから数ヶ月間
アルバイトでお金を稼いでから、西日本へ向かって彷徨った
そして四国を訪れた時、たまたま通りすがったとある男性に声をかけられた
彼は“狐”だった
私から魔気を感じた彼は、私が普通の人間でないことを見抜き
手を差し伸べてくれた
後から分かって驚いたが、彼は妖術結社という日本の妖術家を統括する組織の幹部だったのだ
私は初めて差し出された手を、恐る恐る掴んだ
もちろん、考えなしに私に手を差し伸べた訳ではないと
彼に良いように使われるだけかもしれないと分かっていた
それでも嬉しかったから
居場所を見つけられると思ったから
だからここに来たんだ
彼は言った
「そうだ、今日から君は“ハナ”だ」
「え.....ハ、ハナ?」
新しく名前をもらって、新しい自分になった
今までの変な喋り方もやめて
か弱い女の子のハナになる事にした
でも後から知ったんだけど
ハナっていうのは
犬の名前だった