生徒だけど寮母やります!2
案の定あいつらは屋上にいたけれど
事態は思っていたよりもずっと深刻だった
「「ライ!!!」」
市河と結斗に名を呼ばれるも、返事が出来ずに辺りを見渡す
屋上にはおよそ15人程度の追手と、それに迎え撃つ市河、結斗、爽馬
彼らの後ろ、屋上の端には怯えた様子の景が立っていた
頭上には火の玉が飛び交い
「ラァァアア!!」「ああああ!!」といった勇ましい雄叫びが上がる
人数的にも不利で
相手は大人でこっちは高校生
今すぐにテレポートで景の元まで行こうとしたその時
後ろから男性に羽交い締めにされ、怒りに任せて電流をぶっ放した
「ああ!?」
「いてぇぇ!!」
気がついた敵の1人が叫ぶ
「おい!そいつさっきまで昇降口にいた電気野郎だ!ヤバい奴だから気ぃつけろ!!」
どこからか手に入れたらしいスチールの棒で剣道仕込みの攻撃をしながら、市河が噴き出す
「おいヤバい電流野郎!来てくれたのは助かるけど煽んないでもらえるかな」
「煽ってないわ」
ライは次々自分を囲んでくる敵に電流で対抗しながら、テレパシーを景に飛ばした
(大丈夫か?)
大丈夫なわけないのは分かっているが、隅で怯える彼女の顔を横目で見て問いかける
(ライ.....私全然、何もできなくて.....)
震えた声が脳内で響き
(いや、男相手にどうにかしようとか思わなくていいから)
と冷静に返答した
誰かテレポートを使える敵がいて、景の元まで辿り着いたらどこかへ連れて行かれるかもしれない
まずは自分がテレポートで景の元まで行き、彼女を誰よりも早くここからだすべきだと考えたその瞬間
(ライは真っ先に爽馬とテレポートで飛んで!)
テレパシーを通じて景からそんな指令がきた
(は?)
(爽馬を連れて行かれたら何も意味ない!私なら連れて行かれても逃げ出すチャンスがあるかもしれないけど、爽馬はきっと次捕まえられたらもう会えない気がするから)