生徒だけど寮母やります!2
(でも)
(いいから、早く!お願いライ!私は大丈夫)
先程の怯えを嚙み殺しながらの必死な訴えに、一瞬息を飲む
つい心配になるが
彼女の提案は最善策だった
笠上美音が逃げたのなら、もう景は妖術結社とは関係ない
でも、爽馬は______
(悪い、景。そうさせてもらう。けど、絶対捕まんな!結斗といっちー盾にしていいから絶対捕まんなよ.....!)
(う、うん、大丈夫.....!!なるべくそうならないようにするけど。ライも、絶対爽馬を連れ出そうね!)
(あぁ。頑張ろう、景)
正面から迎え撃ってくる敵を交わし対抗しながら、ライは続いて爽馬の背中にテレパシーを飛ばす
(爽馬、俺のテレポートで逃げんぞ!)
最前線で戦っている爽馬の後ろ姿に変化は見られなかったが、彼の応答がライの頭の中に流れ込んで来た
(え.....僕だけ?景は)
(ダセーことに俺のテレポートは1人が限度だから、今は1番捕まっちゃいけないお前優先でいく)
1年前は、遠い場所だと自分1人すらテレポートで飛べなかった
だから夏祭りで小椋麻依が悪狐に捕まって、景が1人で助けに行った時
帰省していた自分は市河神社まで飛ぶのに従兄弟の力を借りた
けれど今は違う
この1年間でようやく、自分ともう1人を同時に飛ばせるまでになった
少しだけ、成長したと言える部分だ
(ただ爽馬、テレポートするには俺がお前に触ってなきゃいけない。こっちに来れるか)
(.....分かった。ありがとうライ。すぐそっちに行く)
爽馬は戦いながらも徐々に徐々にとライがいる後方へと移動する
そのわずか短い間に、敵の動きが少しだけ変わった