生徒だけど寮母やります!2
敵の1人、スーツの男が通信機を口元に当てて怒鳴る
「ハナはまだ捕まらないのか!逃げ切られる前に早く捕らえろ!」
焦る指示を聞きながら、仲間が何やら小声でスーツの男に話しかけ
通信機を持つ手を下ろした彼は、眉をしかめた後に小さく頷く
何かを決意したような
そんな感じがした
_______何だ?
ライは爽馬との距離を近づけつつもそちらを気にかける
数秒後
「ライ.....!」
爽馬が自分の元まで下がり、一瞬のアイコンタクトを取ったところで、ライはテレポートの為に爽馬の手首を握った
こんな状況なのに、細く白い綺麗な手首から熱を感じて不思議な安堵を覚える
「飛ぶぞ」
「了解」
「おい小高爽馬!」
爽馬が訳あってライと合流したことに気がついた敵が、こちらに襲いかかってくる
しかしすぐに飛べば捕まることはなく、こちらの勝ちだとライは内心冷静でいた
だからすぐに
______テレポート発動!!
その時
敵の1人が景に向かって一直線に走る光景を目にした
今にもテレポートをしようとしているライと爽馬は目を見開く
_____なんっだあの野郎!?
ゼロコンマ数秒で考えを巡らせた
笠上美音を捕まえるために、景を囮にするんじゃないか?
______危ない、景!!
全力で自分のもとに走ってくる敵に気がついた景は、驚き目を丸める
しかし反応は早く、とっさに体をよじり聞こえないが何かを叫ぶ
口の形からして「いや!」と言ったのだろう
そして彼女はその言葉の通り、本当に嫌そうだった
______すげえな
普通なら恐怖で動けなくなりそうなところ、彼女は自分を捕まえようとした敵の手を全力で振り払う
しかし敵もしぶとく、諦めなかった
景が屋上の腰程度の高さの柵にぴたりと背をつけ、自分の肩を掴んでくる敵を拒む
テレポートで飛ぶ間際、ライはそれを見て落ちたら危ないと背筋を凍らせた
そして、この後どうなるかは飛んでしまった自分にはわからないとも.....
体が消えかける
しかしその時
景は敵を振り払ったはずみで大きく後ろに仰け反り
「あっ!」
「おい!」
「え!?」
_________え?
「きゃあああああああ!!!」
「景ーーー ー ー ー !」
屋上から転落した