生徒だけど寮母やります!2
得します!
* * *
景が咲夜の手首を掴んで強引に連れて行ったのは隣の教室
「えっ、景ちゃん!?」
「景!?」
驚きの声をあげる結斗と市河、冷静な爽馬を元いた教室に残し
景に連れられながら、こんな展開になるとは思わなかった咲夜自身が最も驚いていた
「景?俺、何すれば?」
「えーっと.....」
目の前で煮え切らない態度の景を覗き込み、咲夜は「ん?」と首をかしげる
踏ん切りがつかない景は目をギュッと瞑り「時間ないから端的にいうけど.....!」そう声を絞り出すと
「〜〜脱ぐから!だから咲夜は私を巻いて、一緒に屋上から飛んでほしいの!」
とまくしたてた
「え?」
案の定理解するには情報が足りなすぎる
「だから、私がTシャツを脱ぐ.....でしょ?それで本当に本当に申し訳ないんだけど、咲夜が一反木綿になって私を巻いて、私はバレないように上から服を着て、落下に見せかけて一緒に屋上から飛ぶっていう.....」
説明を聞きながらみるみるうちに顔を赤くする咲夜
「待って」
そう言った彼は顔を片手で覆うと、俯いて景の肩に手を置いた
「いいよそんな捨て身なことしなくて。嫌とかじゃないよ。でも景は女の子だし、仲良いからこそそんな事させたくない。自分のこともっと大事にして他に方法考えよう」
景は手を握り締める
優しい彼ならそう言うと分かっていた
いつもいじられキャラを演じてる咲夜は、本当は誰よりも大人で、こういうときはハッキリと言ってくる
だからこそ彼なら安心して自分を任せることができると思った
今は何よりも、爽馬と一緒にみんなで寮に帰りたい
だから
「私がこんなに恥ずかしい思いして言ったのに!これで咲夜に却下されましたなんて言ってみんながいる教室戻ったらもっと恥ずかしいでしょ!」
「えええ。これで承諾して景に巻きついて登場したら俺即死なんですけど」
「何言ってんの!私に巻きついてるんだから咲夜が即死したら私もダメージくらって即死だから!」
「いやいやいや、もちろん景からは綺麗に引き剥がされて繊維の一本一本まで綺麗に分解される気がするんですけど!?」