生徒だけど寮母やります!2

そこで、これまで静かに耳を傾けていた満宵が腑に落ちない表情で景を見る


「え?えっとぉ、小高爽馬とライ先輩がテレポートで屋上から脱出して.....景ちゃんと先輩たちは?あれ、屋上に行ったのはいっちー先輩だけで景ちゃんたちは行かなかった.....?」


混乱した様子の彼に、咲夜は「いや、俺らも行った」と否定しながら首を振った


その横に立っていた景が、恥ずかしそうに先ほどの強行手段を打ち明けた

「実は私が無理言って、一反木綿咲夜に体に巻きついてもらって、屋上から飛び降りたんだ」


「「「ええ!?」」」


想像以上の無茶に驚きの声を上げた後は、しばらく言葉を詰まらせる一年生の3人


「俺も、どうせ狙われないしと思っていっちーに全部託して霧でここまで来ちゃったんだよね」


「「「ええ.....」」」


さらに結斗が市河に全てを託してここまで来たことを知って、彼らは先輩たちに何とも言えない呆れ半分驚き半分の視線を向けた


「先輩たちって何でもやろうとするし行動力凄いわって思ってたけど、もしかしてただバカなだけなんちゃう?」

「いやバカでしょ」


弥隼、続いて千加にバッサリと斬られてバカな先輩たちはグサリとダメージを受ける


咲夜は自身の心臓部に手を当てると、顔をしかめて呻き声を上げた

「千加の音霊がっ、心にぃ、ううっ」

「音霊使ってないよ」


千加の鋭いツッコミに、結斗と景、弥隼は苦笑を浮かべる


しかしただ1人満宵だけは、その中でもずっと静かに黙っているままだった


「ミヨちゃん?」


景の問いかけに、足元を見つめていた彼はゆっくりと顔を上げる


そして自分を覗き込んでいた景と目を合わせると、唇をぎゅっと噛み締めてその目に薄っすらと涙を浮かべた
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