生徒だけど寮母やります!2



「景.....たくさん傷つけてごめん」

囁きほどの弱々しい謝罪が小さな唇から漏れる


景は爽馬の匂いに包まれたまま「ううん」と首を振った


「私こそ、守ってくれてありがとう」


「.....なんだ、本当に全部知ってるんだ」


景からの思わぬお礼に対し爽馬は切なそうに、しかし嬉しそうにため息をつく


見上げると、ライ、咲夜、市河と目が合って爽馬は申し訳なさそうな表情で頷いた



「みんなも.....」


爽馬は彼らに対しそれ以上言葉を継ぐことはなかったが、その先は互いの表情を見ただけで十分だった


「いいよ、爽馬」

「戻ってきてくれたからな」


嬉しそうでどこか恥ずかしそうな咲夜と市河


ライは真顔で1つ爽馬にコツンと優しいげんこつを落とし「バカ」と零す


そんなライに対して爽馬は小さく「ごめん」と謝ってから景を抱きしめたまま辺りをキョロキョロと見渡し、自分たちの様子をそっと見守ってくれていた一年生の4人を見た



「君たちは一年生.....」

「あ、そうです!はじめまして、小高先輩」


いきなり自分たちに話が回ってきた一年生は弥隼に合わせて「どうも」と頭を下げる


爽馬もたどたどしく頭を下げると

「見ず知らずの僕のせいで、君たちにも大変な思いをさせてしまったんだと思う。本当にごめん.....ありがとう」

と礼を言った


景は爽馬からそっと身体を離しながら、やっぱり爽馬は良い意味で一年前とは変わったなと笑みをこぼした



「ううん、とんでもないです」

「僕も.....ほぼ何も出来ませんでした。頑張ったのは先輩たちです」


満宵と千冬が首を振ると、爽馬は少しだけ表情を柔らかくする


そして、再び口を開いた


「藤樫ルークは?」

「あ、そういえば置いてきた」

「え?」


咲夜は質問に答えながら、ポケットからケータイを取り出して何やらいじりだす


どういうこと?と言いたそうな顔を爽馬とライ、市河から向けられた景は


「1番身を呈して戦ってくれたの.....それでボロボロに.....」

と青ざめた表情で説明した
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