生徒だけど寮母やります!2

そのタイミングでシュークリームの匂いに気がついた目ざとい男子たちが、キッチンを覗きに来る


「我が家の台所にていい匂いを感知ーー!」

「あんたはワサビだよ!」

「え、何で?」


カヅキに冷たく吐き捨てられ顔をひきつらせる市河に続いて


「わーい!シュークリームだっ!」

「わーいわーい!」

満宵と咲夜が幼稚園児のようにはしゃぐ



_____うわぁ、通れなーい.....


キッチンに人が密集したことで、景は一旦お盆をテーブルに置くと、さらに彼らの後ろからやってきた冷たい瞳と目があった


「お前らそこに溜まったら邪魔だろ、景が困ってる。戻んぞ」

ライは珍しく冷静にたしなめ彼らの首根っこを掴む


しかし戻ろうとした彼は「.....あ」と声を漏らし、顔だけ振り返ると冷ややかな目つきで結斗を見た


てっきり景はライがあいかわらずの毒舌を吐くのかと思ったが、そうではないらしい


「結斗お前、帰ってきてから何にも言わないけど、身体が痛かったりすんの?」


その言葉に景はギョッとして

「え、そうなの!?」

と結斗を見る


彼は面食らって「え?」と意外そうな反応を示してから、否定するように首を振った


「いや、そんなことないよ。全然大丈夫。最後に俺一人で敵を相手にした時も、ほら、景ちゃんのこと逃がしてくれた男がまた助けに入ってくれて、結構すんなり逃げれたんだよね」


「あそ、じゃーいい」


ライはそれまで鋭かった目つきを若干和らげ、まぁそんな興味ないけど.....とでも言いたそうに頷いて踵を返す


「そっか、良かったな結斗」

「本当だよね。結斗が帰ってこなかったら俺ら今頃もゆっくりできてないだろうしね」


咲夜と市河もウンウンと頷いたので、景も一度深く頷いた
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