生徒だけど寮母やります!2
「それじゃあ咲夜から結斗に目覚めのキスをプレゼントしまーす」
「は!?ちょっといっちー、誰が誰に何のキスだって?」
「目覚めてるのに目覚めのキスはいらないよ咲夜」
「しないけど!?って、爽馬のお兄さん起きました?身体大丈夫です?」
隆馬は頭上の喧騒に顔をしかめると、のそりと上半身を起こす
「うるさ」
景は爽馬と一瞬のアイコンタクトをとってから隆馬のほうに身体を向け反応を窺うも、なんと声をかけていいかわからず一瞬妙な空気が流れた
が、
「あああ、美少年!DNAやわ」
カヅキの歓喜にその空気が和らぐ
「ああそうだね良かったねオバサン」
苦笑するハルにカヅキは一発背中を叩くと
「ここで生活するみたいやしハル、彼氏にでもなってもらったらええやん」
とわははと笑った
直後、みるみるハルの顔が青ざめる
「え、何言ってんのババァ」
彼女は愕然とした顔を叔母に向けてから、急いで隆馬に向かってぶんぶんと否定するように両手を振った
「変なこと言って悪いねこのババアが、無理やりそんなことはしないから安心してこの家にいてくれて大丈夫だから」
必死の弁解にも、隆馬は大して気にしていなさそうに「はあ」と薄い反応を示す
それよりも普通に声をかけられているのが不思議なような、よくわからないような、そんな表情を浮かべていた
「ど、どうしたんですか.....」
ドギマギしてついつい敬語で尋ねたハルの顔には書いてある
___こいつ扱いに困るーーーー!!
見かねたカイが隆馬の前に回ると
「俺、この家の長男カイです。よろしくお願いします」
と手を差し出した
意外にも隆馬はカイの手をすんなり取る
横にいたハルはぎょっとして「え、それ私もやるの?」と戸惑うも、カイに促されておずおずと手を差し出した
「長女ハルです.....よろしく?」
ちゃぶ台をはさんで座っていた市河も、「次男日向です。この家では暮らしてないけど、よろしくお願いします」とぺこりと頭を下げる
隆馬は市河に対して小さく頷き、そっとハルの手を取る
そしてほんの少しだけ口を緩めると
「よろしく.....お願いします」
とほほ笑んだ