生徒だけど寮母やります!2
黙っておきます!2
* * *
「笠上美音!!」
10メートル程先を急ぎ足で歩く女性の背を、ライは名を呼んで呼び止めた
彼女の肩は大きくビクリと震え、瞬時に振り向いた顔は驚愕し恐れを抱いているようにも見えた
_____あぁ.....顔、景に似てるのかもな
この状況でライはそんなことを思う
美音はこちらに警戒し逃げの態勢をとるも、男3人の中に見知った顔を見つけ「爽馬くん.....?」とかすれ声で呟いた
ライがつかつかと歩み寄り、ギョッとする彼女の腕をとる
「な.....誰!?離せ!」
「敵じゃない。逃げようとするな」
「じゃあ誰!?なんなんだよ」
美音は唯一顔を知っている爽馬に、焦りを浮かべた表情で状況の説明を求めた
それまで一歩引いていた爽馬はライに対して「手を離して大丈夫」と目で合図を送る
それを受けライから美音が解放されたところで、爽馬は困惑気味の彼女を見つめた
「ハナさん.....笠上美音さん。今日あなたを勝手に夏祭りに連れて来たこと、謝ります。ただ少し、眺めるだけのつもりが、こんなことになるとは思っていませんでした」
「.....いや、いい、爽馬くん。そういうのはいい。遅すぎたけど、バカなりに今更やっと気がついて理解したんだ。君が景のために私に近づいて結社から追い出そうしてたこと。どんな、気持ちで.....。
合わせる顔がない。申し訳なくて、ありがたくて.....ちゃんと謝罪もお礼もせず、顔を合わせる前にメールなんかで挨拶を済ませて.....1人で.....逃げようとしたのに.....なんで.....」
最後には声にならない声を出し俯いた美音を、爽馬は表情を変えぬまま見つめていた