生徒だけど寮母やります!2
帰ります!ー2ー
シリーズのライトノベルと共に市河の部屋から居間へと戻ると、座って肩を組んだ景とハルの視線が男子たちに突き刺さった
ハルはわざとらしく口元に手を当てて景に顔を寄せる
「奥さん奥さん、こんな大人数の男共がせっっまーい子ども部屋の中で長時間、一体何をしていたんでしょうねぇ?」
「さぁ.....漢の話でもしてたんじゃないですかねぇ?」
「あら、それなら女の私たちには関係ありませんね」
「ええ、全く」
これ見よがしにおほほほほ、と2人して笑う光景は特に二年生男子の胸に鋭く突き刺ささる
「アカン.....胸が痛い。しかも景が姉貴に毒されてる」
げっそりとした弟の声が聞こえているのかいないのか、ハルは男子たちを睨み思い切り指差した
「景ちゃんが優しいからってこいつら調子のってるからね。もう少しシバいても痛くも痒くもないから大丈夫よ」
なんであんたが決めんだ、というツッコミを一同が飲み込んだところで、結斗は急いで景の前まで移動するとその身体をふわりと抱きしめる
「わっ」
「本当、男ばっかの空間で息が詰まりそうだったよ。それよりも待たせてごめんね景ちゃん。会いたかったよ」
「指名客待たせてたホストかって。待ってねーけどな」
あぐらをかいて頬杖をついたハルが横の光景に毒づく
景は結斗を受け止めた状態で、困惑したのか口をぽかりと開けたまま動きを止めた
「どうしたの?」
「.....何でみんな『てんむす』持ってるの?」
「あれ、そっち?」
結斗に苦笑いされハッとした景は彼から身体を離す
「いや、それよりも.....そろそろ帰ったほうがいいかもね」
景がそう呟くと、全員は壁にかかっている時計に目をやった
午後5時21分
結局夏祭りもさほど堪能出来なかったが、みんな激しい戦闘を経て身体は疲弊しているはず
「そうだな。今日はもう帰って、大人にいろいろ報告して休んだほうがいいよな」
咲夜は同意してから、視線を動かすとライを見据えた
まして______
______ライは笠上美音に、不可視魔法をかけ続けてる......景にも顔色が悪そうだって言われてたし(シュークリームを食べる直前に)、そろそろ限界じゃないのか?
無言の問いを受けとったライは素直に「そうだな、そろそろ帰ろう」と頭を掻く
そのタイミングでちょうど居間にシヅキが入ってきた
彼女にはライの言葉が聞こえていたようだ
「学校には爽馬くんも連れて行くのよね?現実的な話をすると、もう魔妖高校の生徒ではないわけだし、先生たちはどう判断されるのか私にはちょっと分からないのだけど.....大丈夫かしら」